2019.10.10

第5回 何もできなかった初日

8月9日 西村屋 本館・客室係1日目

今日から3日間、「西村屋 本館」の客室係を担当する。

城崎温泉の中でも、本館は歴史ある旅館のひとつだ。料金も高く、客層も良い。先生から「今年の秋や来年1月にくるチーム、後輩たちがお世話になる。しっかりと取り組むように」と、釘をさされている。
シフト表をもらった手が震えるくらい、プレッシャーを感じていた。

「私が、本館で働く最初の人」
そんなことを考え出すと、恐怖で頭がいっぱいになる。出発の時間が迫る。もう出ないといけないな。ぐずぐずしていても仕方ないので、勇気を出して7時半に部屋を出る。重い足取りに喝を入れながら、本館に到着すると、歴史を感じられる建物・風景が目の前に広がった。

緊張している暇もなく、お仕事がはじまった。

私のトレーナーは2人。KさんとUさんだ。ともに接客係2年目とのこと。Kさんは完璧に業務をこなす方、Uさんは落ち着いた雰囲気の方で、冷静な判断でおもてなしをしている。英語が堪能なおふたりだ。
客室係は「お姉さん」と呼ばれている。お姉さん同士が呼び合うときは、苗字ではなく、下の名前。私も「七海さん」と呼ばれることに。

初日は業務内容の見学がメイン。世間は現在、夏休み。本日は満室とのこと。とてもとても忙しくなる。足手まといにならないよう気をつけよう。

午前中は布団上げからスタート。その後、朝食の準備・下膳、お客様のお見送り、次に来るお客様の準備だ。

11時半から14時半までは、中抜け(昼休憩)。みなさん昼寝したり、TVを観たりなど、思い思いに過ごして、次の業務に備えていた。

夕方からは着物を着て、夕食の準備や配膳・接客、寝具の準備などだ。私は和装の経験がない。帯がきつくて動きづらいが、うれしい。客室係の部長さんに着付けしてもらう。

客室係は1人につき1~2部屋を担当。お出迎えからお見送りまで、同じ人が接客する。ゆえにお客様との距離がとても近い。その光景を間近で見ることができた。

夕方からは着物姿でおもてなし。
メンバーの田邊さん(右)と


夕食は、猫の手も借りたいほどの忙しさだった!

担当した2部屋の夕食時間が同じで、料理がタイミングよく配膳できない。厨房とも連携が取れず、何度取りに行っても料理がない。過ぎていく時間、Kさんは涙目、腰巾着のようについていくしかない私。とても悔しい時間だった。

忙しい中でも、Kさん・Uさんから丁寧に業務を教えていただいた。そのせいもあってか、2人には疲れが見える。何もできずただ見てるだけの自分が悲しかった。

明日は、役に立ちたい。